第4講 契約 -イラスト編-

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第4講 契約

イラスト編

エスデイ宅建士「第4講 契約」イラスト編でお話を進めていきます。内容的には、契約の種類、売買契約と手付金、条件、期限ということでお話を進めていきます。それでは 早速、中身に入っていきましょう。

典型契約

契約という形で、すでに第1講からこの言葉出てきていますが、ここで「典型契約」という言葉をまた一つ新しく覚えていただきます。

これはなにかティピカル、典型的という意味よりも「民法に定めのある契約」のことを典型契約といいます。というのは、このタイプの契約っていうのはよく行われるので、民法の中であらかじめそれについての取決めを示しておきましょうという趣旨です。そういうのを典型契約っていうふうに言い、13種類が定められています。

これからこの典型契約についていろいろ学習していくわけなんですけども、それに先立ってそのそれぞれの契約についてどう見るかということで、今からお話しするのは、試験にあまり問われるることではないんですけども、契約というものをどう見ていったらいいかということで、お聞きいただければいいかなと思います。

契約の種類

分類の基準

契約の種類ということで、いくつかの分類、分類の基準によって分けているので、見ていきましょう。

対価の給付

カネ(金)

一つ目の基準「対価の給付」。ここでいう対価というのは、お金、「報酬とかあるいは便宜」っていうこともあるんですけども、率直に言ってというか「カネ(金)」だと考えていただいたらいいです。「お金」のやりとりの有無で、ありの場合を『有償』、ないのを『無償』という言い方をすると。

有償

売買
請負
賃貸借

典型契約の例がありますが、有償契約のいちばんトップに「売買契約」です。お金を渡して、ものを買うという形。それから次に「請負契約」というのがあります。何か仕事をしてもらって報酬を出す。また、賃貸借契約。これは貸借契約なんですけども、その上に「賃」振ってついている。賃料すなわちお金ということで、お金のやり取りのある貸借契約です。今、「売買」「請負」「賃貸借」というようにお話してるんですけども、すべて典型契約ということです。

無償

贈与
使用貸借

それに対してお金のやり取りの無い無償契約として、例えば「贈与」。「ものをあげる、タダであげる」という形ですのでこれは無償です。

それから「使用貸借」、貸借契約で先ほどは賃貸借だったんですが、これ使用貸借。どういう意味かというと「ただで使っていい」っていうことで、ただでものを使わしてあげるというような内容、これを「使用貸借」って言います。

目的物の交付

モノ(物)

二つ目の基準は「目的物の交付」。なにか与える場合「お金」は給付、「もの」は交付で、少し言い方違っています。これは「モノ(物)」についての話です。

諾成

これはどういうことかというと、「諾成」というの当事者のはAとBが、『よしこういう契約をしましょう」ということだけで ok 、契約が成立するというものです。対して「要物」の方は、もののやりとりがあってはじめてその契約が成り立つというものです。

「諾成」は、別にもののやりとりがなくても、 AB当事者間で、お互いに了解があったら成立するという格好で、実は、ほとんどが諾成契約です。

要物

「使用貸借」、先ほどあったこの使用貸借、これなどは要物契約ということでした。もののやりとりがなかったら契約は成立しないと、今まではそういう決まりにしていたですけれども、2020令2改正から使用貸借についても諾成にすると。

もののやりとりがなくても、お互いでこれ貸してあげる、借りるという「申入れ」「承諾」があれば ok に変わりました。ということでこれ「要物」から「諾成」に矢印しています。改正前までは「要物」でしたということです。

一定の方式

カミ(紙)

はい次。「一定の方式」に則らないとダメなのかどうなのかということで、これは『書式だとか手続き』ということなんですけど、端的に「カミ(紙)」と考えてください。紙の上にちゃんと書くかどうかということで、見ていただいたらいいです。

不要式

「不要式」と「要式」。不要式っていうのは、口頭だけでもいい、口約束でも ok です。実は、基本、契約ていうのは口約束でいいんです。当事者間ではそれ ok です。ただし、後、裁判沙汰となった時、いった言わないは、裁判官はわからないんで、やっぱり証拠という形で文書とかものの形に残ってないとダメなんですけれども。

要式

保証
定期借家

そんな話はちょっと別にして、書面とか一定の手続きがいるような『要式契約』は何かというと「保証契約」というのは要式契約です。これも以前は不要式だったんですけれども、保証というのは、人の債務を自分が引き受けても構わないということで、それちゃんとした書面なかったらダメというようになりました(2004平16改正)。

それから「定期借家契約」。借家契約は、典型契約である賃貸借契約のうちの一つです。後に学ぶ借地契約とか借家契約、土地や家を借りるときの契約です。そのうちの定期借家締約、これ通称というか省いた言い方なんですけども、その場合、文書で、書面にしないとダメです、それがなかったら契約として成立しませんというものです。

義務

ヒト(人)

で、次は義務。これは「ヒト(人)」に置き換えてますが、人と人との間で義務が生じるかということです。

双務、片務

お互いに生じるのが「双務契約」。例えば、売買契約で『売る人』は目的物を渡す義務、買う人は代金を支払う義務が発生し、互いに義務があるという形です。請負契約や賃貸借契約もお互いに義務がある。

それに対して、一方だけに義務があるのを「片務」といいます。贈与契約があてはまる。『これあげる、もらう』の場合、契約とし成立したら、あげる側はモノなりカネなりをあげる義務がありますが、もらう側は受け取るだけで、あげる側に対し何の法律的な義務も生じない。

債権債務

ここに「債務」っていう書き方していて、債務=義務でもいいんですけども、債務というのはその一方に「債権」っていうのがあって、「債権債務」で一対という格好になります。

債権というのは、人に何かの行為を要求する請求することができる権利をいいます。贈与契約で、もらう方は『あなたこれこれあげるって言ったでしょう、だからください。』という請求権があるという形になってきます。

ということで、これから契約の内容について学習していくわけなんですけど、こういう見方でそれぞれの契約を見ていただくといいかなっていうことです。それでは次のページいきます。

手付金

ここでは、売買契約と「手付金」です。売買契約で、売主が土地を売ります、買主買いますという形で、これでもう売買契約は成立です。これ諾成契約ですので、別に書面もいらないし、売るよ買うよで、諾成で、OKと。これで成立しているという形です。

この時に、その成立したことを条件に、手付金というのが交付(手付けは必ずしも金銭とは限らず、有償物とされているので交付です。実際上、金銭オンリーですが。)される場合があります。『買います、つきましては手付金』という形で、必ずしも手付金の交付がなかったダメということではないんですけども、こういうものを交付したら、売主さんに渡したら、法律的な効力、ある効力が発生するということになります。

申込証拠金

ここでちょっと「※」印してて、手付金とよく似たにニュアンスで言われるのが、「申込証拠金」っていうのがあるんですけども、これは、いわゆる買い手の方かな、買主の購入意思を示すっていうことであって、契約の成立を示すものではない。

だから、手付金と申込証拠金っていうのは、法的な意味合いが違いますので、そこのところに覚えておいてください。

手付けの意味

解約手付
証約手付
違約手付

手付けの話に戻って、この手付金が交付されたときには、それどういう意味、法律的な効力というのがあるのかということですが、ここでは「解約手付」というような意味付けです。他に何があるんだということで、少し書きます。

証約手付、違約手付。この「約」は全部、契約です。契約が成立したということを証明すると。証するするための手付けという意味合いの場合もありますし、契約の内容を実行しなかったら違約の罰金ということで、あらかじめ交付された手付金を没収するという意味合いもあるという形です。

証約手付、違約手付ということもあるんですけど、民法では解約手付と考えるということです。

解約

では解約手付っていうのは、何なのかということで、もし解約、いっぺん成立したんだけども、これやめるってことにするのが、解約(契約解除)です。成立した契約そのものを解消するときにこの解約手付というのが意味を持ってきます。

解約手付の効力

手付倍返し
手付流し

まず、売主が解約するというときの「手付倍返し」について。土地代金1000万円として、手付けとして100万円交付された場合、売主側が解約するときには100万円の倍額、200万円を買主側に渡さないとダメだということです。

一方、買主側が解約するときは「手付流し」、この100万円すでに交付してる100万円をそのまま受けとってくださいとなります。それで解約成立という形、契約はなかったことにするというです。

これが解約手付の効力なんですけれども、これには条件があって、『相手方の履行の着手後はできない』と決められています。

履行の着手

履行

「履行の着手」いう言葉ですが、「履行」というのは、約束通りのことを実行するというのが履行でした。では、履行の着手ってのは何なのかということですが、試験にはこの用語で出てくるんで、そのまま覚えてください。

具体例で例えば、これ土地、不動産の売買契約が成立したとして、それについて「履行の着手」の履行とはどういうことかいうと、売主の履行は、買主に土地を引き渡すことです。不動産の場合だったら、登記、まだ勉強してないんですけど、登記を備えさせるということも履行です。

で、買主の履行は何かというと、代金の支払いが履行というのが、それぞれの履行です。

履行の着手

買主

そしたら、履行の着手とは何なのというと、代金1000万円という多額になってくるんで、例えば買主が金融機関から借入れることにして、その手続きも終わり今手元に1000万ある、あとはこれをお渡しするだけというところまでくると、これが買主にとっての着手になります。そうなってくると、これはもう売主は解約できないという形になってきます。

履行の着手

売主

では、売主にとっての着手は何かということで、ここが少し先の話、他人物売買の話になるのですけど、実はこの土地は Aの所有だと。売主B で、これ買主C だとすると、売主B が、A所有の土地を、買主C に売るという「他人物売買」というのは ok なんです。人のモノを売りますというのは ok です。

この場合だったら、B がC に目的物、土地を引渡しするということになってくると、自分がまず手に入れないとダメです。そうすると『目的物を入手』って書いてるんですけども、土地の所有者Aからこの土地を Bが手に入れたと、ここまで来たと。あとは、これを契約に沿って Cに引渡すだけというところまでくると、これは履行の着手なんです。これが着手という意味になります。でそうなってくると、買主は、相手方の売主が履行の着手をしたので、解約できない形になります。

ここから先は「解約」ではなく「契約不履行」や損害賠償の話になってきますが、これは別のテーマになります。ということで、この解約手付は損害賠償なしにきれいさっぱり終わりにましょうということです。はい、そしたら次いきます。条件、期限。

条件

解除条件
停止条件

「条件」はよくことばですが、イラストでは、おんなの人が何かお話ししています。それで、条件には「解除条件」と「停止条件」があって、この女の人がこういうことを言ってると。

『毎月お小遣いあげているけれど、今度試験に落ちたらもうあげるのやめるよ」と。これは解除条件の例です。【試験に落ちる】という事実の発生が、いままでの『小遣いあげる』っていう契約というのかな、約束を解除させるということで「解除条件」といいます。

で次、「停止条件」こちらが重要なんですけども、『今度の試験に受かったら、ご褒美あげるね』って言ったとすると。【試験に受かっていない】ということが、ご褒美をもらうという約束の「停止条件」です。「停止」ってあるのがなんなのか、私も初めてこの勉強したときピンとこなかったんですけども、ご褒美あげるっていう効力の発生を停止しているのが、まだ試験に受かっていないということなんです。理解含めて覚えて頂ければと思います。

条件付贈与

今のこの話、『今度の試験に受かったらなになにあげる』、これは条件付贈与という贈与契約、贈与契約なんです。条件付きだけども、契約として成立しているという格好です。

契約成立にともなう権利

ここで大事なのは、条件成否未定の間も、だから受かるかを受からないかまだわからない段階でも、契約そのものは成立していて、契約成立にともなう権利というのが守られるということが、ポイントになります。

『条件がまだ成就してないんだから、その権利とか別にないんじゃない』のではなくて、契約そのものが成立しているということは、そこで発生した権利がもうすでにあり、それは守られなければならないという考え方です。

それでは次、期限です。

期限

条件はそれが成就するかどうかわからないということがありますが、「期限」はその時期がくるのは確実というのが大きな違いです。「効力が発生する一定の時期」と書いている、要するに絶対発生すると。それがいつかということについての概念が、期限ということです。

発生するはじめが「始期」で、終わるのが「終期」という形です。例えば、第3講の表見代理のところで代理権授与の期間について、終期をはっきりさせないとダメという話ししたと思います。

はい、ということで第4講 契約イラスト編終わります。引き続いて、文章解説、読む解説に進んでいきます。以上です。



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