第3講 代理 -イラスト編-

第3講 代理

エスデイ宅建士第三講、代理ということで「見るイラスト編」の説明を進めさせていただきます。

イラストの方にあらかじめ字句の記入しておりますし、これから私の方でまた文字の方を入れさせていただきたいんですけども、私の字が少し難点がありまして、読みづらいということがあるかと思うんですが、次の「読む解説」のページで同じ字句がありますので、そちらの方で確認方よろしくお願い致します。それでは進めていきます。

代理

第三講ということで、代理という話なんですが、これはどういうことかというと「本人」が「代理人」に、『代理権を授与する』と。何か契約とか、ここでしたらやはり契約、売買契約ということでお話進めていきます。

代理権授与

土地があって、本人がそれを売ってほしいと『代理人に売買契約について代理権を授与』したと。こちらが本人（売主）で、これが相手方（買主）とした場合、代理人が相手方（買主）と契約行為、売買契約を結んだとすると、この売買契約の効力っていうのは代理人じゃなくて本人と相手方の間で生じるというのが、この代理の内容になってきます。

ただし、この代理人には「顕名主義」、代理については顕名主義という原則があり、これは『代理人は本人の代理であることを相手方に示す』ということがポイントです。顕名の「顕」っていう字、ちょっと難しい字なんですけれども、これは露出と同じ意味合いで、隠さずにわざと見せると。代理であることを相手方に示すということです。

顕名のないとき

もしこの顕名のないとき、自分は代理人ということを言わなかった場合にはどうなるかというと、効力は、この売買契約の効力は代理人に生じるということになります。顕名のない場合、相手方は、代理人ということはわからないんだから、この代理人が売買契約の売主、直接の売主という形で法律上の効力が発生するという形です。

だから、覚えておいてほしいのは、顕名のないまま契約があったときの意思表示は有効で、契約は代理人と相手方との間に生じるということです。顕名のない時も、無効にはならなくて、効力は代理人との間に生じるというのがひとつポイントになってきます。覚えておいてください。

ここのところは後でまた戻ってきます。そしたら代理について、覚えて欲しい事柄で次いきます。

自己契約

自己契約。本人、代理人とあって、先ほどと一緒なんですが、売却について代理をお願いしたと。この時に、『あーそれいい話なので、自分が買う』と代理人が自ら買うとなった場合、これはダメなんです。もしこういう形で代理人が買ったりすると、その契約は無効となります。

なぜかというと、契約のお話ししたときに出てたように、売る方は高く売ってほしい、一方、買う方は反対に安く買いたいという形でした。ところが、代理人は代理人としての立場っていうのは売主本人の代理なんだから高く売らないとダメなんだけども、自ら買う買主としては安く買いたいということで、「利益相反」になる。利益相反という形になって、これはダメです、自己契約っていうのはもしやったとしたら、その契約は無効っていうのが原則になります。

原則ということは、たとえば本人さんが『まあそれでもいいよ』ということになってくれば、成立するという形なんですけども、後で解説の方の話で、付け加えるということでお話進めていきます。

双方代理

次、双方代理、これはどういうことかというと、売主から代理権を与えられた代理人だと。買主からも代理権を与えられたと。両方の当事者の代理人になったと。すなわち、同一人が当事者双方の代理になること、これもダメとなってます。

高く売って欲しい、安く買いたいということが、代理人の中で一つの立場っていうのが重複する形になるんで、それはやはり利益相反でしょということで、こういった双方代理もこれは原則ダメとなっています。

復代理

では次、復代理、復習の「復」。これは本人から代理権の授与があった代理人がこの代理権の内容について、さらに別の代理人を選任したという形です。こういう場合、復代理といい、選任された人は復代理人といいます。

この復代理人が、相手方と契約をした場合、この復代理人というのは代理人の代理人じゃなくって、『本人の代理人』なんです。あくまでも本人の代理人。だから効力は直接、本人に及ぶと。言ってる意味わかると思うんですけど、復代理人の法律行為は、元の本人と相手方との間で効力というのが発生するということです。

復代理人が相手方にした意思表示（ここでは契約の成立）というのは、元の本人との間に生じるということがポイントです。そしたら次、進んでいきます。

無権代理

無権代理ということでお話しします。無権代理というのは、代理権の授与なんかなかったと。なしなんだけど、この無権代理人が、自称、代理しましたと相手に表示したと、顕名主義ですから。この場合に契約が成立したとすると、これどうなるんだという話です。

本人さん全然関係ないことであればそれで終わり、あとは無権代理人と相手方との問題になってくるのですが、この無権代理という話があるのは、この本人と無権代理人の間には、例えば、親子であるとか親族であるだとかで、一定の関係っていうものがある場合がある。全く関係ないのに本人の代理人ですっていうのは、むしろあんまりないということで、少し本人を関わらせようという話になってきて、それがこの無権代理の話だという格好です。

無権代理の相手方

無権代理の法律関係では、相手方が無権代理であることを、知ってたか（悪意）知らなかったか（善意）、知らなかった時にも、注意義務について過失があったか、なかったかで、(1) 悪意、(2) 善意有過失、(3) 善意無過失と場合によりいくつかパターンがあると。

色々パターンがあるのは、とりも直さず本人と無権代理の間に一定の関係があるだろうから、この本来の契約っていうのを、そのまま成立させる手立てというのを考えていきましょうというのが、無権代理を考えるときのキモというかポイントです。

そうすると、どういう形になっているかというと、

相手方

①相手方は本人に追認してくれと催告することができる。追認催告、第一講でありました。取消しができる場合について相手方が追認を催告するでした。無権代理では、本人は勝手に名前を使われただけで、本来無関係ともいえるのですが、相手方は本人に対し追認催告ができるとしています。

これ、相手方が悪意であっても ok なんです。悪意であっても ok 、過失があっても ok 、無過失あれば当然 ok という形で、相手方が本人に無権代理行為なんだけども、この契約をそのまま本人との間の契約っていう形にして認めてくださいということが何でもいけるということです。

相手方

②次のパターン、相手方は、契約の取消しもできると。ただし、悪意の時にはダメですと。無権代理であることを知っていながら、契約を取り消しくださいって、そんな虫のいい話はダメだと。

でも善意であれば、過失があっても、無過失であれば当然のことながら、契約の取消しができるという形になっています。

相手方

③善意無過失の相手方は、無権代理人に契約どうり約束通りのことを実行せよと、あるいは実行できなかった時には損害賠償という形になるわけなんですけども、請求することもできる。

これは悪意の時はもちろんダメで、善意であっても過失のある場合にはダメです。善意で無過失の場合だけ、○です。顕名主義のところでお話したと思うんですけれどもそれと同じパターンになってくる。無権代理人にその契約をちゃんと実行するようにしなさいという格好になってきます。

本人

相手方の対応はそれぞれなんですけれども、本人の対応は次のようになります。

①追認催告されて、確答しない場合、本人がもうなにも返事にしなかったという時には、「追認拒絶」になる。そんなもんできるかと、ほったらかしにしといたら、それ追認の拒絶という格好です。

②次に、先ほどの「相手方の取消し」ですけれども、実はそれと並んだ形で「本人追認」ということも認めています。そして、取消しと追認は早いもの勝ちとなっています。

無権代理で勝手に名前使われたのですが『よっしゃそれいいわ』と、本人が追認したら、この追認は ok なんです。その時は、相手方は取消しができない。反対に取消しを先にされたら、もう追認はできないという形で、本人追認は相手方取消しと競合します。

無権代理人

無権代理人。無権代理人は、先ほどのように相手方が善意無過失の場合に、契約履行、損害賠償という責任がありますが、相手方悪意とか過失があった場合には、無権代理人に責任なしという形になっています。

おさらい

無権代理にもかかわらず、こういうルール、色々な対応を用意してるっていうのは、とりもなおさず本人と無権代理人の間には一定の関係があるであろうということです。

表見代理

次ですが、表見代理。表見代理というのは、実は無権代理の一つ、だから基本的にはこれは無権代理なんです。無権代理なんだけども、代理権の存在を信じさせるような事情があったと。でかつ、それについて相手方は、善意無過失、これ善意無過失だったと。

代理権の存在

それで代理権の存在を信じさせるような事情ということで、次の①②③のようなケース。

①代理権を与えているかのような表示。こちら親で、子供、息子だというときに、『自分もう歳やからこれから家屋敷・土地の売買について子供に譲っていく』とか言って、相手方それ聞いて「息子が親御さんの土地の売買について権限を持ってるんだ』と思い契約した。
②代理権の権限外の代理。土地を売るんじゃなくって、別の家の方を売りたいというふうなことで代理権を授与したのだけれども、権限外の土地を売ってしまった。
③代理権消滅後の代理。代理権に期限があって、それを過ぎているにもかかわらず、契約した。

本人に効果

いずれのケースでも、代理権の存在を信じさせる事情があって、相手方が無権代理であることについて善意無過失の場合には「表見代理」とされます。そうすると無権代理にもかかわらず「本人に代理の効果が及ぶ」という形になってきます。

先ほど、本人と無権代理人との一定の関係ということを言いましたが、表見代理では、さらに強い関係があるが、代理権の存在ことを信じさせるような事情があるとなってくると、これは表見代理という解釈になって、責任を負うっていうのかな、本人に法律上の効果が及ぶ、契約であれば契約は成立ということになってくる格好です。

おさらい

先ほど、ちょっと後でと言ったんですけども、もどってこれです。

(1) 代理というのは「代理人の法律行為の効力が本人に及ぶ」。そらそうです、そのためにやってるんですから。
(2) 無権代理の場合、及ばない。色々パターンありましたが、基本的には及ばない。だって代理権授与をしてない、渡してないんだから及ばないのも当たり前だと。
(3) ところが無権代理なんだけど、表見代理というふうに判断されると、判断されるというのは、裁判ごと案件ごとにされるんですけど、全く180度違う方向、正反対、真逆で、及ぶっていう形になってくる。

ということで「代理」「無権代理」「表見代理」の違いを見ていただいたらと思います。

代理権の授与

元に戻って、そうするとそこからを言えることは、代理権の授与には何をはっきりしなアカンかということで「誰に、なにについて、いつからいつまで」という3点をきちんとさせて、代理権を授与するというのが大事ということができます。

以上、続いて

みるイラスト編については以上です。初めに言ったように、文字、非常に読みづらいかと思うんですけれども、「読む解説」に同じ字句ありますので、そちらの方で確かめて頂ければと思います。それでは続いて解説、問題を進めていきます。

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