第1講 能力 -イラスト編-

エスデイ宅建士 -権利分野-

動画 / 口述

最初のページ


問合せフォーム

申込みフォーム


動画


口述

権利分野の学習

法律用語

はい、そうしましたら「エスデイ宅建士 第1講能力 みるイラスト編」についてお話をさせていただきます。

この権利分野の学習っていうのは、民法が中心になっているくるということは、すでにお話ししてるんですけれども、民法は法律の中身の話になってきますので、まず法律用語っていうのがあります。これをきちんと理解していただくっていうことが、第一歩というのかな、はじめにするべきことになります。

用語と概念

文章で理解

これちょっと缶詰を考えていただいて、缶詰があると。そこにのラベルが貼ってあると。これはちょうど「用語」に相当します。で、缶詰の中に当然、中身があるわけなんですけれども、これに相当する言葉というのが、「概念」という言葉なんです。

例えば、缶詰だったらラベルに「ツナ缶」ってあれば当然中身はツナ、「桃缶」だったら桃というふうにすぐわかるようになっています。けれども、この法律用語の場合は、この理解すべき概念っていうのは少し、そんな簡単にすぐわかるということではない、具体例を通して、最終的には文章でやっぱり理解できるようにすると。

というのは、学習の成果というのは、問題を解く時に現れてくるわけなんですけれども、問題というのは文章で出題されるのだからということです。という前置きをしたうえで、これから具体的に入っていきます。

法律行為と能力

権利能力
意思能力
行為能力

法律行為と能力ということで、ここちょっと下へ行きます。法律行為に必要な能力、この「法律行為」については次にまた具体的な内容というんですか、お話することにして、まずここでは法律行為を行うためには能力がいると。

民法ではこの能力として「権利能力」「意思能力」「行為能力」っていう3つが備わっている事が必要ですと考えています。で言われてもなかなかわからないんで、人の成長段階で置き換えてみていきます。

人の成長段階と法律行為に必要な能力

 

①人の成長段階で、まず出生、生まれたらもうその人には「権利能力」が備わっている、という形になります。具体的にはまたお話、次にさせていただくんですけれども、出生と同時に生まれたら権利能力が備わっていると。

②でこの子が成長して10歳前後になったということになると「意思能力」が備わるようになりますと。まあ10歳前後と、ちょっとこれは幅があって、幼稚園ぐらいでも自分はああしたいこうしたいという意思表示をできる子もおるんで、ちょっと幅があると。

③で次に年齢が進んで成人したと、成人しましたと。今でしたら満18歳(令4年改正~以前20歳)になれば成人という形なんですけれども、こうなるとこの人には「行為能力」が備わったという形に見ていくという格好です。ということでこの権利能力、意思能力。行為能力とあるんですけど、人の成長段階で見ていただくとわかりやすいかなというふうに思います。

法人の権利能力

法人

この権利能力についてはもう一つ「法人」ていうのがあって、法人っていうのは、法律によって人格を認められた人ってしているわけなんです。だから株式会社だとか、あるいはこの宅建試験を主催している、実施している団体「一般財団法人不動産適正取引推進機構」これも法人という形です。

法人に対して自然人

 

この法人ということに対して、「自然人」というふうにここに書いてあって、これはどういう区別なんだということなんですけれども、民法では、「人」っていう用語が表す概念というのは「人間の人」と「法人」も含めていると。そうすると人の概念の中で「法人じゃない人」って言うのかな、いわゆる「生物としての人」っていうのどういう風にいうかということでこの「自然人」っていう用語を当てています。

講学上の概念

 

これは法律の条文を読んでも出てこないし、だから試験などにも出てこない用語なんですけれども、これから民法を勉強していくうえで、学習上こういった用語を入れといたほうが整理しやすくて勉強しやすいということで「講学上の概念」と言い方していて、法律学の方でこういう用語をつくっていますという格好です。これはまたのちほどにも出てきます。講学上の概念としてこういった用語があります、勉強をする上で都合いいですという形です。

日本の民法の基礎は西欧の近代法

 

自然人という、この言葉だけ見ていると、法律とかルールに縛られない自由気ままに生きているのが自然人っていうイメージなんですけれども、どっからこんなことばが出てきたのかというと、もともと日本の民法っていうのはいわゆる西ヨーロッパ、西欧の近代法を基礎にして、それを出発点にして形作られているわけなんですが、そこでこういった「人」の中で「法人じゃない人」のことをナチュラルパーソン(natural person)って言ってるんで、それをそのまま訳しているようです。じゃあ法人はなんていうか、これコーポレーション(cooperation)です。

法律の中の概念として「人」っていうのがあって、「法人」じゃない部分っていうのを「自然人」っていうふうに言ってるというふうにみてください。自然人の話はここまでにして、話の筋を元に戻します。

制限行為能力者、パターン①

未成年者

権利能力、意思能力、行為能力というお話をしてきて、成人になったら「行為能力」が備わってくると、行為能力がありますと。では、未成年の人っていうのはどういう形になるかというと、行為能力が制限されていますということで、「制限行為能力者」という言い方します。

例えば、身の回りの買回品などは誰でも、子供さんでもできるわけなんですけれども、不動産を買うという形になると何百万何千万円になってくると。ものを買ったらお金を払うのは当然のルールなんですけれども、多額の金額になってくると金融機関からお金を借りると、お金を借りたら当然それに対する担保って言うんですか、不動産の場合でしたら、あとでまた出てきますけれども「抵当」というものの出てくると。また、「登記」という手続きも必要になってくる。そういった自分がやった行為に対する結果っていうのが理解できる、これは法律を知っているというじゃなくて、法律を知っていなくてもそういうことが理解できるというのが民法でいうところの「行為能力」というものです。

未成年者の法律行為

保護者

未成年者が何らかの形で法律行為を行うといった場合には、どうするかというと、保護者がおると保護者が。子供さんの場合だったら親権者、親っていうのがいるんで、その人が未成年者が法律行為をやる時にはそれをサポートする、支援するっていう形でその法律行為ができるようにするという格好です。

制限行為能力者、パターン②

成年者だけど制限行為能力者

ところがここで問題なのは、成人なんだけれども行為能力が制限されるような人がいますと。

例えば、ここちょっと観ていただいて、加齢に伴って認知障害を起こしてるっていう人の場合、「成人なんだけれども行為能力が制限」されることがあり、そうなるとこの人は制限行為能力者という形です。ちょっと先の話までしたんで少しわかりづらいところがあったかと思いますが、制限行為能力者については、再度、改めてお話の方、進めさせていただきます。

法律行為

単独行為
契約
合同行為

法律行為について、民法で言うところの法律行為は3つです。

「単独行為」「契約」「合同行為」、これも用語そのものの中身に踏み込んでいくと難しい話になっていくので、具体例でみましょう。

①「単独行為」、例えば「遺言」を書くというようなこと、これ一人で、ひとりの人の意思表示でできると。
②「契約」、例えば「売買契約」モノの売り買いです、売買契約。
③「合同行為」、先ほどあったような法人の設立、株式会社を設立するというようなこと、合同行為っていう法律行為です。

法律行為と「意思」

 

それでこの3つの見分けということで「意思」の数と方向についてお話しします。法律行為には、その行為を行う当事者の「意思」とその表示があると。

①「単独行為、例えば遺言」の場合は1人の者の意思表示であると。自分の遺産について、こういうふうに処分してくださということで、「ひとりの人の一つの方向の意思」に基づく法律行為であると。

②「契約」ていうのは「相対立する意思の合致」という形であると。相対というのは、例えば売買契約でしたら「売る」と「買う」という「一対の相対」と捕らえます。相対立で対立というのは何らかなと、対立しているのが合致するというのはピンとこないなと思うんかもしれないんですけれども、売るというのは当然のことながら高く売るということがある。で、買うというのは安く買うということで、このあたりで対立的な、対立という考え方をしているという格好です。

③次に「合同行為」は、例えば、ここに法人を設立しようとする4人の人がおるとすると、会社を作りましょうという形で、全員が同じ方向に向いていると捕らえます。法律行為には、単独行為、契約、合同行為があり、具体例として、遺言、売買契約、会社設立をあげました。なお、宅建試験」では「契約」が中心です。

(もう一度)法律行為に必要な能力

 

先ほど「法律行為に必要な能力」を人の成長段階に合わせて見るというで説明しました。図の上下が先ほどと違うんですけれども、権利能力、意思能力、行為能力というのがあって、権利能力というのは出生、意思能力というのはだいたい10歳前後、行為能力は満18歳(令4年改正~以前20歳)で成人になればというお話をしたかと思います。

意思能力の有無

 

ここでひとつポイントっていうのは、権利能力っていうのは画一的に分かる、これは「出生」という形です。行為能力も「十八歳」(令4年改正~以前20歳)になればあると、画一的に。法律的な言い方としたら「外形的に判断できる」。外から見てわかると。

それに対して、意思能力というのはケースバイケース的なところがあって、例えば先ほどの10歳ぐらいで意思能力がある、意思表示ができるようになるとしたんですけど、10歳ではなく10歳程度です。年齢だけじゃなくて、たとえば泥酔者っていうのは、これは意思能力がないと判断されます。

で、ケースバイケースっていうのはどういうことかというと、結局、民法上で何か争いことがあった場合には裁判で決着つけるっていうのがルールとしてあって、例えば泥酔者の場合その意思能力の有無というのは、泥酔というのは、例えば人によって酔いやすい人だとか酔いにくい人もいるし、どこまで飲んだら泥酔なのかというと、これはもうケースバイケースで事案ごとに判断されるという形です。だから、少し幅がある。先ほどの年齢でしたら、10歳未満っていうのは意思能力なしと考えられていますが、これも一つの目安であって、もう少し年齢が低くても意思表示ができる子もいれば、以上でもできない子もいるということで、ケースバイケース的なところがある、ここがちょっと「意思能力の有無」については、「権利能力」「行為能力」と違うところがあると、一つ覚えていただきたいかなと思います。

(もう一度)成年者だけど制限行為能力者

 

それで先ほどの制限行為能力者の続きになってくるんですけれども、成人なんだけど「行為能力」が欠如している、不足している欠落しているっていう形、例えば知的障害あるいは精神障害、それから今一番大きな問題なのは、加齢に伴う認知障害、認知症とか言ってますけれども、これが非常に大きな社会的問題で、どう対処しましょうかっていうので出てくるのが、次に繋がるんですけれども「成年後見制度」というものです。

成年後見制度

保護者をつけて法律行為をサポート

制限行為能力者パターン①は未成年でしたが、成年後見制度は、制限行為能力者パターン②の成人だけれども行為能力が欠如している人への対処ということで、未成年と同じように保護者をつけてその人の法律行為というのをサポートするための制度です。

これ先ほど出てきた図なんですけれども、制限行為能力者のうち未成年じゃなくて成人に達した人についてどうするかということで「成年後見制度」が用意されていると。

介護保険法と同時施行

 

これは、2000年の介護保険法と同時施行とです。なぜかというと、この介護保険法のキモっていうのは、介護サービスの提供は主に民間事業者で、介護サービスを受けるにあたっては、民間事業者と本人が契約をするということが前提になっています。ところが、成年にもかかわらず行為能力が欠けている人はそのままでは契約はできない。そういう人についてこの「後ろで見る」「後見」という形で契約や財産の管理処分ができるようにしていきましょうということで、これが成年後見制度に繋がったという格好です。

高齢者の状況

 

先ほどこの話したんですけれども、実はこれが非常に大きな問題いうのは、今の高齢者の数っていうのは日本の総人口だいたい1億2000万強、高齢者が3000万人4分の1ぐらい、4人に1人だと。すでに認知症を発症している人が460万人、26人に1人、認知症の予備軍って言われてる軽度認知障害を持ってる人、推計値400万人、合わせて860万人。14人に1人が何らかの認知障害を起こす可能性、またすでに起こしているという数字、これは大変な数でおそらく皆さんのご家族だとかお知り合いの方の中でも、こういった問題を抱えている方がおられるんじゃないかなと思います。そういうことでこの介護保険法と成年後見制度っていうのが、2000年から同時施行という形になったとされています。

後見制度のタイプ

被補助人
被保佐人
成年被後見人

この後見制度についてはいくつかタイプがあって、それはご本人の障害の状態と程度、重い人もいれば軽い人もいるので、それに対応していこう形です。

ここでは、障害の程度、行為能力の欠如の程度の軽い方から見ていただきたくて、「被補助人」「被保佐人」「成年被後見人」、みんな「被」ていう字が入ってます。それでこの人たちについて法律行為ができるようにということで、それぞれ保護者をつけますと。子供さんだったら親ですけれども、成年についても保護者をつけるということで成年後見制度、保護者については「後見人」という言い方になります。後見人はそれぞれ、①被補助人の場合だったら「補助人」、②被保佐人だったら「保佐人」、③成年被後見人には「成年後見人」という名称になります。

後見制度と家庭裁判所

 

後見人は、すべて家庭裁判所が選任するという形です。この後見という言葉が出てきたら、家庭裁判所がらみだっていうように考えていただいたらいいです。例えば、未成年者で未成年後見人というのもあるわけで、これは例えば子供さんで親がいないっていうことだとか、親権を剥奪された、例えば、育児放棄や虐待だとか暴力振るうだとかで親権を剥奪された場合には、その子供さんに未成年後見人っていうのが選任されます。

成年後見制度の後見人

補助人
保佐人
成年後見人

そうするとこの人たちはどういうふうなことをするかということになんですけれども、

①「被補助人」軽い人っていうのは家庭裁判所が定める「特定の行為」について「補助人の同意」が必要ですと。

②「被保佐人」については「重要な法律行為」についてこ「保佐人の同意」が必要ですと。先ほどの被補助人の場合の同意が必要な特定の行為っていうのは、この重要な法律行為、これは民法の中で何項目か定められてるんですけど、その中の特定のものについてが家庭裁判所が定めるものということです。

③で「成年被後見人」になると「成年後見人の代理」という形になって、同意というのがのがなくなっちゃうんです。なぜかというと成年被後見人の場合の行為能力はほぼ無くなってる状態で、同意を与えても同意に沿った法律行為ってことができないということから、後見人成年後見人がすべて代理して行うという形になっています。

買回品

 

ただしここに書いてありますけれども買回品、食料品だとか普通の日用品衣料衣類かな、これについては本人が単独でできる、これは制限行為能力者すべてについて言えるわけなんですけれども、子供さんが買物するのにいちいちその親の同意だとか代理であるいうのはないです。そのあたりっていうのは単独で ok ですという格好になっています。

同意、代理

 

同意あるいは代理というようにあったんですけれども、ここで「法定代理人」ってあります。成年後見人は家庭裁判所が定める法定代理人です。「代理」については、次の講でくわしくやります。で、補助人と保佐人については下のところにありますけれども、代理権を付与された場合には、法定代理人として法律行為を本人に代わって行なうという格好になっています。

こういう形で3タイプ、それから「代理」ありなしで分かれていくわけなんですけれども、これは本人の行為能力の欠如については色々幅があるんで、本人の状況に合わせてに柔軟に対応していくということでタイプが分かれて、という格好です。

無効と取消し

 

次の文章解説、問題演習につなげていくわけなんですけれどもこの「意思無能力者の法律行為」、これ無効です。無効、初めからそれは法律的な意味がないと。

一方、制限行為能力者の場合にはちょっと意味が違って「取り消すことができる」と。取り消すことができるということは、取り消さないでおくこともできますということで、次につながっていくという形になってきます。

以上

 

イラスト編、終わりです。引き続き、読む解説、解く問題に進んでいきましょう。



↑戻る

© 2004-2023 sdwork.net All rights Reserved.